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2018年2月その5

この時のコミン(紫のジャージを着た男の子)はふだんと違う様子だった。いつも元気なコミンがお祖母さんにもたれかかっていた。いたずら好きで毎回私を驚かせてはキャッキャッと笑っているコミン。そのコミンへ話しかけても、「うん」「ちがう」くらいしか答えが返ってこない。この日は気分が乗らないのかなと思った。

 両親を同じ難病で亡くして以来、コミンはお祖母さんと2人で暮らしている。ムスリマのお祖母さんは孫のコミンを目のなかに入れても痛くないほどかわいがっている。お祖母さんがコミンを慈しんで育てている様子に、私はいつも心を打たれていた。

 


いとまをする時、いつものようにお祖母さんが私に祝福の言葉をかけながらハグしてくださった。私はコミンとも軽くハグをした。

「また8月か9月に来るから、元気でいてね」と言うと、コミンは「お薬も毎日飲む。おやつばかり食べずに、ごはんもちゃんと食べる。のりこが来るのを待っているよ」と答えてくれた。

まさかこの日がこの世でコミンと会えた最後の日になるとは思っていなかった。そんなことはこれっぽっちも想像できなかった。

 

8月の滞在中にコミンに会うことはできなかった。体調が思わしくないため支援団体には来れず、優しいお祖母さんが看病しているとのことだった。

何度かお祖母さんと電話で話をした。いつも「ちょっと具合が悪いだけだから、具合が良くなったらコミンと会ってやってね」とおっしゃっておられた。

 

コミンの体調は回復することなく2018年11月に亡くなった。